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会長

第24回日本ワクチン学会学術集会

会長 吉川 哲史
藤田医科大学 医学部 小児科学

2020年12月19日~20日の二日間にわたり、第24回日本ワクチン学会学術集会を名古屋で開催させていただくことになりました。会場の都合でクリスマス間近となってしまいましたが、思い起こせば1997年に大谷 明 先生が東京ヤクルトホールで開催された第1回の学術集会も12月で、非常に寒い中、日本で初めてのワクチン学の学会に参加し、熱い議論に触れた記憶があります。今回の学会も、それに負けないような熱い学会にしたいと思いますので、ぜひ多くの皆様方に最新の研究成果を持って名古屋にお越しいただければと思います。

さて、今回の学会のテーマを「ワクチンで創る持続可能な未来の医療」にさせていただきました。我が国を含む先進国では、いずれも少子高齢化が急速に進み、特に我が国はG7諸国の中でも飛びぬけて高齢者の割合が高いことが知られています。それに伴い急速に膨らむ医療費をどうやって削減するか、いずれの国においても喫緊の最重要課題として挙げられています。2000年の国家予算を基準としてみると、2016年の我が国の防衛関係予算はほぼ横ばい、教育・科学予算は82%に低下しているのに対し、医療費を含む社会保障にかかる予算は190%とほぼ倍増しています。そのような状況を鑑みて、国は2035年までの達成を目指して3つのビジョンとアクションプランを提示しています。一つ目のビジョンが保健医療の価値を高めること、二つ目が主体的選択を社会で支えること、三つ目は日本が世界の保健医療を牽引することとなっており、その中の二つ目のビジョンを達成するためのアクションプランとして、ワクチンの積極的推進による予防医療の充実で医療費削減を目指すと謳われています。

将来を担う子どもたちの未来を明るいものにするためには、来るべき本格的な少子高齢化社会を皆が健やかに継続的に暮らしてゆけるようにせねばなりません。そのためには“ワクチン”というツールを有効利用し、積極的な予防医療施策をとることで医療費抑制に努める必要があります。本学会では、そのような観点から人類の未来を支えるためのワクチン学の発展を目指して、皆で集まり議論を深めたいと思っています。

以上までは、本学会の開催に向けたご挨拶としてCOVID-19流行前にしたためた内容です。ご存じのとおり、その後このemerging infectious diseaseは急速に拡大し、本学会もWEBでの開催をせざるを得なくなりました。本来であれば名古屋で皆様とお目にかかり、熱い議論を交わす予定でしたが残念ながらかないません。当初のテーマに沿った話題に加え、SARS-CoV-2ワクチン関連の講演、シンポジウムも計画いたしましたので、是非とも多くの会委員の皆様方にWEB参加していただければと思います。巷では、ワクチンに対する期待が極めて高くなっておりますが、これまで長年にわたりワクチンに取り組んできた身からすれば、それほど簡単に有効かつ安全なワクチンが速やかに使用できるようになるとは思えません。専門家として、WEBではありますが本学会を通して議論を深め、これまでの知見を整理し正しい知識の発信に努めてゆければと思っております。ご協力のほどどうぞよろしくお願い申し上げます。

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