第10回日本性差医学・医療学会学術集会 会長
藤田保健衛生大学坂文種報徳會病院 脳神経外科 教授

加藤庸子

この度、日本性差医学・医療学会学術集会の第10回目の節目となる会の会長を仰せつかり教室員一同大変光栄に存じます。
今回、副会長として、藤井 多久磨教授(藤田保健衛生大学 産婦人科学講座)、東口 髙志教授(藤田保健衛生大学医学部 外科・緩和医療学講座)、眞野 惠子看護部長(藤田保健衛生大学病院)の3名にご協力いただくこととなりました。各領域の性差のもたらす意義と治療や結果への反映を期待しています。
また、海外からはこの道の第一線で性差治療に関わられる、ドイツのProf. Vera Regitz-Zagrosekをお招きし本学会の国際化はもとより、海外と本国との性差医療に関わる違いや今後の研究、臨床における共有化を目指していければと考えております。

さて、女性は男性よりも長寿でその差は7年以上といわれ、健康寿命の差は4年程度女性が長命と言われています。どこからこの差が生じるかという究極の性差医療の研究は大きな関心事であります。

そして、男女差があるほど研究解析が進んできています。 日本人の脳血管疾患は男女差が高く、女性での認知症や骨粗鬆症などは性ホルモンの影響が強く、脳梗塞・心筋梗塞などの動脈硬化性疾患の発症では、女性では男性に比べて10年ほど発症が遅いと言われ、ホルモンが血管をいかに動脈硬化から守るかという点が重視されています。
女性の健康寿命低下に大きくホルモンの著減が関わっていることは言うまでもありません。

生物学的と、社会的性差に大別される性差に関しては、後者は文化・国民性にも大きく影響し、就労関係、WLB、禁酒、検診の機会、社会生活での役割など、心身両面でのあらゆる部分で健康に影響すると考えられ、性差医療学会の進歩は重要な役割を担っています。また社会の熟成に向け、医学界の多様性が進む中、女性医師への期待は膨らんでいます。男女医師間のキャリア格差解消を目指した取り組みが果たす役割も大きいと考えております。
女性専用外来も開設されてから年月を経て充実してきており、性差医療の役割の一端を担っております。本会では海外のゲストの方々共に、これらの問題も含め皆様と活発な討議を期待しております。

本学会が皆様にとり実り多きものとなりますよう、多数の方のご参会を心よりお待ち申し上げております。