ご挨拶

今回、東京慈恵会医科大学脳神経外科教室で第28回日本臨床スポーツ医学会学術集会を執り行うことになりました。現在、鋭意準備をしております。

今回の学術集会の主題を「文化の成熟を示すスポーツ医学 -2020年に向けて-」とさせていただきました。ちょっと分かり難い主題ではありますが、意図するところは以下の通りです。自分が小学生の頃催された1964年の東京オリンピックでは、戦後の復興著しい日本を世界に示せることが目的の一つであったと思います。当時、スポーツ医学は黎明期であり、スポーツ現場では、「死んでもいいから頑張れ」的な根性論がまかり通っていた時代でもあります。メダルはたくさん取ったかもしれませんが、今日からみると前時代的なメディカルサポートしかなかったものかと思います。

昨今、2020年に向けてスポーツ医学会も盛り上がりを見せておりますが、その盛り上がりのベクトルは過去と同様なものであってはならないと思っております。この期に科学的に裏付けされた医科学がサポートするオリンピック、パラリンピックを催すことができれば、もはや発展途上ではない日本の成熟した文化というものを世界に示せると思い主題を決めた次第です。ロンドンオリンピックで多くをご経験されたZideman先生にもお話いただき、我々も2020年に臨められるようになればと願っております。

また、今回の学術集会では、これまでと切り口をちょっと変えて、オリンピック・パラリンピックをまえにして、スポーツ医学とそれを取り巻く社会について考えたいと思いました。鈴木大地スポーツ庁長官、後藤田正純衆議院議員、岡村信吾横浜DeNAベイスターズ社長および安田秀一ドーム代表取締役など、様々な分野の先生方からお話をいただける機会ができそうです。一方、医療訴訟の問題や色覚問題などスポーツの裏側に存在する問題も取り上げてみました。僕たち医療関係者がより広い視野・社会観を持ち、現場に臨められればと願っております。

会場がある代々木は僕自身、幼少期およびこの25年以上住んでいるところであります。会場の国立オリンピック記念青少年総合センターは、終戦後にアメリカ軍の駐留地でありワシントンハイツと呼ばれていた地域であり、子供の頃に塀越しに外国の世界を垣間見た記憶がわずかに残っています。その後、ここは1964年東京オリンピックの際に選手村になりました。そして、その跡地が利用され、代々木公園と国立オリンピック記念青少年総合センターが出来たわけで、まさに東京オリンピックゆかりの地でもあるわけです。神宮の森に接し緑豊かで広大な敷地を有し、宿泊施設(割安)もセンター内に多く設けられており、また、新宿、代々木、原宿、渋谷に近く、皆さんにとってとても便利だけれども、ちょっと雰囲気の違う東京を楽しめるのではないかと思っています。

学会二日目は、広い体育館を借りて、一般の方々にも参加していただけるような、子供達のためのスポーツイベント(自分自身の運動能力を理解し、本当に自分に合ったスポーツを知るようなスポーツ能力測定会)も並行して行う予定です。柔道家の篠原信一さんをはじめ、多くのゲストがいらっしゃるようで、なかなか賑やかになりそうです。学会会員ならびに学会会員以外のスポーツ医学に興味をお持ちの一般の方々、そして多くのお子様連れでのご参加をお待ちしております。

第28回日本臨床スポーツ医学会学術集会

会長 谷 諭

(東京慈恵会医科大学 脳神経外科学講座)
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