長挨拶

このたび第12回日本CAOS研究会を2018年3月22・23日にKKRホテル大阪にて開催させていただく運びとなりました。

この研究会はコンピュータ技術を整形外科手術に応用することで、正確な再現性のある安全な手術結果を提供できるよう、その開発、評価、啓蒙、普及を目的に、大阪大学医学研究科、菅野伸彦教授のもと2007年に発足し第1回大会が開催され、多くの熱意ある先生方のご努力で現在まで継承されてきました。

10年ひと昔といいますが、昨今のコンピュータ技術の進歩はさらに加速し、リアルなフライト・ドライビングシミュレーターに応用されてきたVR(Virtual Reality:仮想現実)技術が家庭用ゲームにまで取り込まれ、昔SFアニメでしかみたことのなかった自動運転技術がAI(Artificial Intelligence:人工知能)の応用により現実のものとなりつつあります。皆様も非常に興味を持たれていると思われるこれらのトピックスにつきまして本大会の特別企画として特別講演を依頼させていただきました。VR技術の医療への応用、展望に関しては東京慈恵会医科大学高次元医用画像工学研究所所長であられる鈴木直樹教授に、AI技術についての医療へのかかわり、展望については東京慈恵会医科大学放射線医学講座の中田典夫准教授にご講演頂く予定であります。それぞれ各方面でご活躍の第一人者の先生であり、夢あるお話を拝聴できることと思います。

手術支援システムもここ10年で様々な変化を見せてきました。例えば人工股関節関連でいえば、当初イメージレスナビ、フルオロナビ、CTベースナビが存在し、精度検証など盛んに討論されていました。4,5年前くらいからは精度やソフトの面からCTベースにほぼ統一されてきた感があり、現在は海外ではさらに発展形のCTベースナビを統合したロボット手術システムが稼働している一方で、一見逆行するような簡易な角度測定ツールも開発、発売されており、多様化してきています。この背景にはインプラントの改良、手術方法、市場経済的事情など種々の変化が関係しているように思いますが、さらに本大会が開催される2018年には各社から種々なモダリティが市場に投入予定とも聞いており(可能な限り本大会の展示ブースで情報を提供できればと思っています)、ますます混沌としたCAOS技術のCHAOSといった様相を呈しそうであります。

このような中、惑わされずにどのようなモダリティを選択し、臨床に生かしていくかを考えたときに最も忘れてはいけないのは、手術成績を向上させるために必要な精度の把握とそれの目標にどれだけ迫れているかの評価フィードバックサイクルを機能させ続けることではないでしょうか。前回の第11回大会でも佐藤卓大会長が-評価と目標設定-とのテーマを掲げられましたが、今回はさらに先に踏み込むという意味合いで「次世代への指針―必要精度と実現度」というテーマとさせていただきました。また、本大会でのシンポジウムやご講演の配置ついて、一日目は各分野での現在の課題整理、二日目はその課題への取り組みという色合いでプログラムを作り込んでいく予定です。是非、両日とも参加いただければ本大会をより楽しんでいただけるかと思います。

最後に、本大会の開催場所であるKKRホテル大阪は、第1回大会の開催場所でもありました。この日本CAOS研究会発祥の地で、熱い議論が交わされることを祈りつつ、この会の発展に寄与できるよう注力していく所存でございますので、何卒ご協力のほどよろしくお願い申し上げます。

独立行政法人 国立病院機構 大阪医療センター 整形外科 医長

三木 秀宣

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